熊本地震の余震が今なお続いており、支援物資の輸送が急がれていますが、ネット上では「生理用品が必需品であるということに対して理解の無い男性が東日本大震災の時にいた」という投稿が発端になり、男性の生理用品に対する向き合い方が話題となっているようです。

河野太郎防災担当相によると、熊本には既に生理用品26,000枚が届けられているとのこと。滞りなく被災者のもとに届けられて欲しいと思いますが、ネットにおける一部の男性の書き込みを見ていると、やはり生理用品の必要性に関して理解無き男性もいるようでした。



◆なぜ、男性は生理に理解が無いのか?

そもそも、日本では生理用品どころか、生理(月経)のメカニズム自体についてもしっかりと理解をしている男性は少数と言えます。医療従事者でない限り、高校の保健の教科書に書いてあるようなレベルですら、しっかり解説できる男性はごく少数でしょう。

これには「男性は生理について理解をしなくても良い」という誤った風潮と、「男性が生理について言及すると気持ち悪がられる」という傾向があるからだと考えられます。

前者に関しては、多くの先進国の性教育において男性も理解することが当然であるとされていることなどからも、良くない風潮として改めなければならない問題ですが、より厄介なのは後者です。確かにこれまで生理に言及して女性に気持ち悪がられるセクハラ男性を見たことがある人もいるでしょう。

ですが、多くの女性は、男性が生理に理解があることや言及すること自体が気持ち悪いのではありません。生理等の女性の性について医学的な観点や健康という視点で捉えることができておらず、「エロ」や「シモの話」という視点でしか捉えられないために、生理に言及する際にもそれらの要素が入り混じった態度や言い回しになるから気持ち悪く感じるのです。

実際に、女性に気持ち悪いと思われる男性の多くは、言葉の節々にエロ的な要素が混じっているケース、言い方がねちっこいケース、違和感のある好奇心が感じられるケース、一般的な話としてではなく個人的な問題を根掘り葉掘り聞くケース、変に意識し過ぎた態度であるケースなどがほとんどです。

また、あえて「男性だから俺の口から言うのは控える」という態度も実は問題です。というのも、自分が女性の性を語る時は必ず「エロ」要素が混じっているということを自ら証明しているようなものであり、敏感な女性から見れば、「この人は女性の性をエロ的な視点でしか見られない人だ」と分かるわけです。



◆男性は生理に理解が無くても良い時代では無い

その一方で、一部の女性から「男性は知らなくても良いのでとにかく配慮だけをして欲しい」という意見があがることもあります。ですが、そのような「臭い物に蓋をする」方法では何の解決にならないどころか、大きな問題を引き起こしかねません。

私は、働く女性の健康管理支援を行う「株式会社リプロエージェント」という会社の代表を務めており、クライアント企業で働く女性や管理職向けに、女性の健康管理をテーマにした社員研修とコンサルティングサービスを提供しています。

このようなサービスを始めたのは、女性の社会進出や晩産化に伴い月経回数が昔のおよそ10倍になったこと等が原因で、生理にまつわるトラブルや女性特有のガンが大幅に増加していることが背景にあります。近年、女性活躍推進が叫ばれていますが、女性の健康を取り巻く環境は昔とは一変しており、女性が安心して働き続けるためには、男女問わず女性の健康に関する知識と予防意識が欠かせないのです。

とりわけ職場では上司が男性である場合も多く、上司が女性部下の健康管理に関してどうコミュニケーションを取るか、どのような制度を構築するべきかは大変重要な課題の一つであり、我が社でも重要なテーマとして取り扱っています。それは、理解無い男性や理解しなくても良いと思っている男性が多い中、女性が知らない間に大きな疾病や不妊などの問題に繋がるケースも少なくないからです。

さらに、働く女性の婦人科疾患によって、日本では年間約6.37兆円もの経済的損失が出ていることが明らかになりました(日本医療政策機構)。そのうち企業においても約4.95兆円もの労働生産性損失が生じています。このように、もはや男性は知らなくても良いなどというレベルの問題では無いのです。



◆生理を自己肯定できない女性も少なくない

なお、たとえ男性の態度・言動が淡々としていても生理に言及すること自体が気持ち悪いと感じる女性も一部にはいます。

このようなケースに関しては、女性自身が生理を思想的な意味で穢らわしい存在(衛生的な意味での「汚い」ではない)だという偏見を内面化させてしまっているケースが目立ちます。母親や教師などから刷り込まれてしまい、自分の体に起こる生理という現象を自己肯定できていないのです。

そしてそのような女性ほど、たとえ淡々とした態度でも男性が生理に言及することに嫌悪する傾向にあると感じています。また、そのような場合、女性自身も生理に関して十分な知識があるとは言い難いように思います。それが婦人科疾患の予防に対する意識が低いことにも繋がっていると考えられます。

この解決には、他の臓器と同じで健康という切り口でオープンに語れる人とのつながりや環境を構築することが欠かせません。私たちの活動はまだ始まったばかりですが、これからもその必要性を訴えて、男女がしっかりと向き合って配慮し合える文化を広げる活動をしていくつもりです。



◆男性の無理解がパートナー間のトラブルも生む

今回は主に職場や周りの男性による生理の理解の必要性について書いてきましたが、もちろん男性パートナーが生理やPMS(月経前症候群)についての知識や理解が無いのもかなり問題です。実際に、男性が理解できていないことで、相手への配慮に欠けた性行為、DVやデートDV、予期せぬ妊娠、産後クライシスなど、様々なトラブルの原因ともなっています。 

前回のエントリーでも言及しましたが、私が連載をしている朝日新聞社WEBRONZAにて『女性の「自分らしさ」と「生きやすさ」を考えるクロストーク』というイベントをシリーズ開催しており、第一回に行ったアンケートで「対等なカップル・夫婦関係を築ける人がいない」と回答した方がおよそ半数にのぼりました。

ここにはもちろん、「女性性」に対してエロという切り口でしか捉えられておらず、パートナーシップを上手く構築できない男性が数多くいるというのも原因の一つでしょう(拙著『恋愛氷河期』ではそのような男性を「肉メガネ男子」と表現しました)。

2016年4月24日(日)に渋谷の朝日新聞社メディアラボで開催する第二回は、「これからの夫婦のあり方とカップル文化について考えよう」というテーマで行う予定であり、是非ともこの男性による女性性の捉え方という問題についても、ディスカッションができればと考えております。同じような問題意識を持った方々と交流ができる場もありますので、ご興味ある方は是非ご参加ください。(詳細はWEBRONZAのページをご覧ください)

これからの時代、まともな男性ならば生理くらいきちんと知っていて当然であり、知らないならば女性と交際する資格は無いと思います。恥ずかしいことという昔の価値観をいつまでも引きずったままではいけません。「知っている男性は気持ち悪い」ではなく、「知らない男性はカッコ悪い」という風潮が広まるよう、男女ともに性に対する正しい知識を身に着けられる社会にして行きましょう!

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『恋愛氷河期』(扶桑社)

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